島の宝

竹富島にはたくさんの宝がある。
昔話や知恵もその宝のひとつ。

『竹富島の住まい』

 竹富島の住まいは、広く沖縄全域の建物構造と同じ。正面を南にして、
東を上手、西を下手、建物はほぼ正方形。東より西へ一番座(床の間)、
二番座(仏間)、三番座(居間)と呼ばれ、その裏に裏座を設けている。
生活様式の変化で屋根の勾配、木造から鉄筋コンクリート、石垣の高さなどは
変わってきたが住まいの方角は変わっていない。
琉球王国時代は、大きく士族と平民、各役職などで階級による建物の建て方、
建築用材も厳しい制限が課せられ建物を自由に建てることはできなかった。
竹富島の人々はほとんどが平民で、平民は四間×三間(約8m×6m)の母屋と
二間(約4m)四方の台所(トーラ)の分棟で瓦葺は禁止、茅葺屋根の掘っ立て小屋、
アナフヤーだった。
1889年建物制限令が撤廃され、1903年に人頭税が廃止、その後1905年に
竹富島で初めての瓦葺の住まいが誕生した。
当時の赤瓦の屋根の勾配は大正期や現在よりもきつかったようだ。フクギや石垣で建物を
包み込み、台風から住まいを守っていた。こうして守られてきた家並みは1987年、国の
伝統的建造物群に選定され多くの人々が訪れるようになった。

家を建てる時には、本当に手間をかけた。それが家族の喜びでもあった。
家を建てる日取りを決め、木材の切り出しをするために下調べをした。
ほとんどが西表島の山々から木を切り出し、竹材は小浜島や石垣島から調達した。
10日以上もかかって伐採した木は、舟に乗せて運んだ。
人々は無事に戻ってこれるように山入の願いをし、終わって帰ってくると山迎えの儀式と
宴会をしたそうだ。
切り出した木材は家を建てる準備、防虫のために潮干しを行う。
木材調達で、大活躍したのが、牛だったそうで牛への感謝の言葉を今でも欠かさない。
石垣では、馬車に乗せてくれたそうだ。ありがたくて泣けたという。
牛や馬、他島の人々、たくさんの人の温かい手助けで家は完成していったのです。

そんな、住まいの思い出。

一番座・二番座には、昔、蚕を飼っていたそうだ。
蚕は4段の箱を作り必ず縦軸の下に水を溜め、蟻対策をしていた。
子供たちは蚕の箱の下に足をいれて寝ていたそうだ。蚕のために桑の葉をとるのは
子供の役目、水に濡れないように軒下に干していた。
二番座にはおじいちゃんと子供たちが東枕にして寝ていた。女の子は朝起きると
最初に庭掃き、道の掃除をした。男の子はヤギの世話をした。卵は貴重品で鶏、鶉、鳩、海鳥、
亀の卵、なんでも食べた。時々、床下にはいると鶏が卵を産んでいて、体が小さい子供たちだけの
特権だった。喜んで食べたが、サルモネラ菌にやられていて腹下し、吐き、動けなくなった
苦い思い出もあるそうだ。

(竹富島くらしごよみカレンダー2017年版コラムより)

『喜宝院と蒐集館』

1949年、浄土真宗本願寺派竹富詰所に任命された上勢頭亨氏が1957年に開いた寺院。
古いものには宝になると気づき、体が弱かった亨氏は、日本、沖縄、中国、竹富島内の美術工芸品などを
集め、1963年開館したのが喜宝院蒐集館。
陶器、漆器、古銭、織物、書画、木彫、金属、石器、化石、農具、船具、家具、楽器、織具、石彫、雑物など
1063点を収集した。このうち、842点は伝統的生活用品として2007年国の有形文化財に登録されている。
竹富島の人々の生活のみならず同年代を生きた近隣の地域、日本、沖縄などの生活もこれらの収集品をとおして
知ることができる。
自らを凡愚と称し読んだ琉歌は『親ふじぬたくみ 目手ん優りゆる 御万人ぬたみに 宝さびら』
亨氏が古いものを慈しみ親や先祖を思い、次世代の宝に託している心が読み取れる。
当時、収集した文化財の説明には寄贈者、発掘人、堀場、堀出人の名前がきちんと書かれており、
鑑定人の名前には濱田庄司の名前もある。
こういう亨氏の古き宝に対する情熱と、残された蒐集館の文化財から、今の私たちはひとつひとつのものと
ともに生きた先祖の息吹を感じ取りたい。

(竹富島くらしごよみカレンダー2017年版1月コラムより)

『病気と薬』

昔も今も悩ませている病気は下痢、歯痛、頭痛だろうか。
竹盛佐賀翁は民間療法を伝授してくれた。
下痢はへそに塩を焼いて当て湯たんぽでお腹を温める。今でもお腹を温めるのは下痢を
したときの良策。タバコの火で痛む歯を焼き、塩を入れる。今の正露丸を歯痛の穴に埋めるより
痛そうだ。近所のおばさんが来て、卵1個と酢を温め、メリケン粉を混ぜて布にはり、
それを顔に貼り、夜が明けるまで貼り替えてくれて歯痛が取れたという心温まる話もある。
歯痛の民間療法には山いちごの汁を目にいれるというのもある。
佐賀翁は言っている。竹富で取れる野菜はほとんどが薬になると。

(竹富島くらしごよみカレンダー2017年版コラムより)